世界経済はこう変わる
神谷秀樹 小幡績 光文社新書 2009/5
『すべての経済はバブルに通じる』(東洋経済の経営書ベスト100の5位)の小幡教授が対談していました(09年1月)。
対談者の認識は、金融システムは、構造的に変化したのであり、時間が経っても元には戻らない です。
バブル崩壊から金融市場が機能不全になり、その影響が実体経済に及んできた。焦点は、政府がデフォルトするかどうかに移ってきており、その見極めをどうするかが、本書のテーマになっています。
財政出動についても、否定的です。
世界恐慌のときに、株価は、最終的に9分の1にまで落ち込みました。ニューディール政策というのは、そのときになってから登場してくるわけです。つまり、経済がどん底で、失業率が25パーセントのときの政策なんです。(小幡)p.71
金融界の建て直しは、原点回帰です。
今日の得は僕のもの。明日の損は株主と納税者のもの」というような経営をした人間たちに、傷んだ金融機関の再生を託すなど愚の骨頂です。(神谷)p.70
公私混同は悪くない、ということです。むしろ、公私一緒にしないと信用できない、それが本当だと思うのです。(小幡)
神谷さんが、企業を育てる目を持ったバンカーが現場からいなくなってしまったという指摘は、重いですね。日本は、DBJに数兆円の融資をさせようとしていますが、民間に無くなったノウハウがあるのかどうか…。
一方、「リーマンショック」以降、日本が明るくなったというのも、一面の真理を突いています。
経済再生は、新しい価値を目指すことから始まるとしています。p.156以降のPerfume論は、一読の価値があります。アメリカ人にとって、カリスマがあるスターは上から目線なのに対し、日本では、イイやつが人気になる。
神谷さんは、古典や歴史から学ぶスタンスで、ルネサンスの例を挙げています。
以上、ご説ごもっともなのですが、これで高校生が、やるき出すかなと思うと考えてしまいますね。実際は、こうした反省(価値観の再構築)中心になるのですが、オバマ・ライクに「新しいスタート」として整理すべきかと思っています。
では。
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