オランダを知るための60章 長坂 寿久 2007 明石書店
JETROアムステルダム事務所長によるオランダ解説書。オランダ人は、カトリック全盛期のマイノリティ(プロテスタント)として国を作ってきました。もともと多様性を受け入れる素地がありました。
埋め立てで国土を拡張。風車で水を汲み上げ、管理する中で「制御」を極め、歴史の中でいつも先端的なモデルを提示してきました。
この国は「麻薬」「売春」「尊厳死(安楽死)」が「合法化」されているという日本で流布されたイメージが「半分間違いで半分正しい」(P.103)
第16章の中で、これらは「野放し」に認められている訳では無く、「一定の厳しい規制・管理」の中でのみ認められ、ただ麻薬や売春を「弾圧」する事で、これらの(取り締まっても決して無くならない)犯罪が地下にもぐったり、犯罪組織の資金源になる事を最小限に抑える事が出来るとオランダは考えていると述べている。そしてその「管理・制御による影響の最小化」という考え方は、「治水」によって作られたこの国ならではの発想です。日本とは離れてるがゆえに学びも深いですね。