プロテスタンティズムと日本国

オランダに住んで1年が過ぎました。この国の成り立ちも、少しずつ見えてきました。その一つが、宗教(プロテスタント)。先日、初回した司馬遼太郎の『オランダ紀行』の話が腑に落ちます。
オランダは商人の国で、船に乗ることが多かった。カトリックは、神父を通じて神と向き合う。神父のいない船上では、どうにもならない。

プロテスタントは、聖書さえあれば、どこでも信仰を実現できる。商人といての移動の自由がもたらした国、それがオランダなのです。

最近、相続の手続きをしていて、このことを思い出しました。

書類に署名する段になって、実印が求められたのです。実印であることを証明するには、印鑑証明が必要です。しかし、日本に住民票のない人は、印鑑証明が発行されません。

非居住者は、大使館に行って、「署名証明」をもらいます。片道2時間かけて、サインしに行くわけですね。日本政府のオペレーティング・システムには、「日本国外に日本人が住む」ということが想定されていないのがわかります。

これをFedExで日本に送って、1週間ほどかけて「本人」と認めてもらうわけです。

シンガポールは、電子認証が進んでいます。私が政府のポータルにログインすると、スマホのアプリにメッセージが飛び、スマホの指紋認証でOKすると、本人と認定してくれます。ものの、20秒。

かつて、こういう技術に真っ先に飛びついたのが日本でした。どうしてこんなに変わってしまったのかを考えています。