池上教授のオーバーツーリズム対策を興味深く読みました。
なぜなら、記事で紹介されているバルセロナは、日本と同じ直系家族的な地域だからです。スペインというと、ラテンのりで、自由と平等のイメージがあるかもしれません。たしかに、首都マドリードは平等核家族地域です。しかし、バルセロナ付近は直系家族で、製造業も盛んです。サクラダファミリアも、140年建設中です。こんな工事、父から長男に技術を伝承する直系家族地域でないとできないですね。なので、バルセロナはマドリッドと価値観が合わず、周期的に独立運動が起こります。
オーバーツーリズム対策も、上からの改革なのに気づきますか?まず、諮問会議の設置。日本でもよく聞きますね。
次が、観光宿泊施設抑制計画。総量規制ですね。まず、規制ありき(笑)。民間の知恵とか、価格メカニズムでモノゴトが解決すると思ってません。
そして、ゾーニング。震災で停電になると、計画停電をして、ゾーニングで等しくみんなで痛みを分かち合うというのは、直系家族的です。価格メカニズムを信じて、値上げで需要を抑えるというのは、優先順位が下がるのですね。
違法宿泊施設の取り締まり。そう、直系家族はビシバシ捕まえます。権威主義もOKなんですね。ホテルと民泊(AirBnB)に差をつけるのは当然で、民泊が取締強化されます。
4つ目が、観光戦略計画。計画大好き。個人が自由にやれば、見えざる手に導きで最適になるなんて、端(ハナ)から思ってません。
これらの対策が直系家族的なのは、絶対核家族地域のアムステルダムと比較すると、よくわかります。アムステルダムも、オーバーツーリズムが問題になっているのは同じです。ちょっと笑うのは、その原因が、麻薬と売春であるところですね。バルセロナなら即禁止するでしょうけど、自由を重んじる絶対核家族は、規制することにものすごく抵抗を感じるわけです。
アムステルダム市長が、赤線地区の郊外移転を打ち出しても、反対が起こって止まっています。麻薬もオランダ住民以外は買えない法律になっているのに、新たな規制は、「中心地での路上麻薬の禁止」とか小出し。まるで日本軍の「戦力の逐次投入」を見ているようです。私が言うところの「Prisoner of freedom」でして、自由を尊重しすぎて、社会問題が解決できない例でしょう。
DWがアムステルダムの規制を取材しているのですが、もっとも迷惑を被っている住民代表の女性の提案が、苦笑してしまいます(※刺激的な映像が流れますので注意)。
飾り窓地区のお姉様がショーウィンドーに立つことを禁止して、室内接客だけにすればよいとのことですが、アホな男性がそんな対策でお行儀がよくなるとはとても思えません。こんな迷惑を被っている地元住民ですら、規制は最低限にしなければいけないと(深層心理で)思っている。それが絶対核家族なんですね。
海外事例を参考にするときには、(家族類型などの)文化を理解した上で、取り入れると成功確率が上がると思いました。
では。