留学と所得格差

 コロナでオンライン授業となり、留学する意味が薄れたと聞いて、ひとこと。私は留学したのは自分磨き的なところがあったのですが、アメリカに行って実感したのが、豊かな暮らしをしたいという志です。

 1999年頃の中国の一人あたりGDPは、アメリカの40分の1。中国からの私費留学生は、親戚中からカンパをもらって来てました。彼女は、一族郎党を背負っているわけで、お金をなんとかヤリクリしながら、一心に勉強に打ち込んでいました。留学というのは、合法的に豊かな国に暮らせる手段で、努力すれば、就職への道もひらけます。母国の40倍の給料がもらえるのであれば、仕送りで家族が助かるでしょう。

 かつても日本もそうでした。1960年アメリカの一人あたりGDPは日本の6.3倍。

このころ留学した先輩の話を聞くと、2年分の学費の目処も立たずに、アメリカに渡った話を聞きます。6倍も差があれば、日本で頑張って貯金するよりも、アメリカで働いた方が合理的です。

 この差がなくなったのが、1989年。私は1990年にニューヨークに行きましたが、アメリカが特別豊かだとは思いませんでした。1995年にはむしろ、日本の所得方が高くなりますね。私は1999年に留学しましたが、アメリカでの就職は考えませんでした。

 悲しいことに、最近はその倍率が上がり始めています。アメリカは日本の1.6倍ですが、シンガポールやスイスと比べると(為替のせいもありますが)2倍になっています。これが、3倍、4倍になってくると、なんとか留学してチャンスを掴みたいという若者が出てくるのでしょうか。それはそれで、悲しいことではありますが。

 では。