【本】最速でトップに駆け上がる人は何が違うのか?

最速でトップに駆け上がる人は何が違うのか?

エレナ・ボテロ 日経BP社 2018/10

The CEO Next Door: The 4 Behaviors That Transform Ordinary People into World-Class Leaders
by Elena L. Botelho and Kim R. Powel with Tahl Raz 

経営幹部17千人以上を評価した結果報告。4つの特性とは、

  • 決断力
  • 結果をだすために人を動かす能力
  • 絶対的な信頼性
  • 大胆な適応力

こうした適性は、天性のものではなく、後天的なものと主張しています。

後継者を先代が指名する日本では、こうしたデータがなかなか集まらないので、その意味でも貴重な本。それは、冒頭の「CEO」に関する誤解を読むだけでもわかります。

  • 名門大学出身者限定である
  • 幼い頃から偉大な人物になると思われていた
  • 自分本位のスーパーヒーローである
  • 並外れたカリスマ性と自身を備えた非凡な人物だ
  • 完璧な経歴がなければならない
  • 女声と男性では成功に違いがある
  • どんな状況でもうまくやる
  • あらゆる条件を満たしていなければならない
  • 誰よりも熱心に働く
  • 賢いほどよい
  • 経験がすべてに勝る

それぞれを覆すデータが、実際に示されるところが、素晴らしいです。

第2章は、決断について。正確さよりもスピードが重要であることが示されます。冒頭のマイケル・ジョーダンの言葉が印象的。

I’ve missed more than 9000 shots in my career. I’ve lost almost 300 games. 26 times, I’ve been trusted to take the game winning shot and missed. I’ve failed over and over and over again in my life. And that is why I succeed.

失敗を繰り返しても、決断を恐れず、失敗から学び続けるのが成功するCEOの姿なのですね。

第4章は、絶対的な信頼性。冒頭の引用はアリストテレス。(p.94)

人間は習慣によって作られる。よって、すぐれた結果は一時的な行動ではなく、習慣からうまれるのだ。
We are what we repeatedly do. Excellence, then, is not an act, but a habit.

行動原理を変えないことが信頼を生むのですね。

重役がCEOに雇用される可能性と、雇用後に職務で秀でる可能性の両方を高めるのはこの特性だけだ。

p.94

一貫性のあるリーダーは、小さなことが大事だと知っています。p.103

  • 会議、飛行機、電話の時間を守る
  • 会議で一人ひとりのやるべきこを明確にする
  • 取り決められた行動を定期的に追跡する
  • リストを作成し、リストを実行する
  • チーム内での気分、ことば、行動を意識する
  • 失敗を避け、知る必要のある人に常に最新の情報を与える

CEOの特徴の分析だけでなく、第3部では、CEOになった後に結果を出すための方策にも触れています。たとえば、第7章

CEOの最終候補者リストに載る方法は、「素晴らしいことを成し遂げて、それが誰かの耳に入るように願う」ことではない。「素晴らしいことを成し遂げて、それに注目させる」ことが重要なのだ。

p.189

日本企業ではどうなのでしょうか。

各章のまとめを読むだけでも勉強になります。

では。