三枝 匡 日本経済新聞出版社 2016/9
上場企業の経営者が自ら書いた改革記。ここまで詳しく書いてくれるのは、ありがたいです。参考になります。最初は、本質を見抜く力。
自社の事業モデルが優れているのに、その「構造」が整理されていない会社は、「事業モデル」という切り口で議論することを忘れ、事業モデルを強化するための総合戦略を放置している可能性が高い。競合企業が価値を見抜いて真似をすれば、こちらの優位性はいつの間にか消えていく。
p34
次が、社員の目線を上げる施策。社員が自覚していない企業文化を気づかせ、変えられるのは、外部経営者の長所ですね。理論・戦略から入るところは、コンサルタントらしいです。
事業を絞り込む過程(p.54)も、リアルです。プロダクト・ポートフォリオマネジメント(p.112) を調整しながら使い込んでいくところは、実務家らしいところでした。
第3章は、コスティングの話。ABC原価計算を実際に使っているのは、参考になりました。
第4章は、海外展開。今となっては海外事業あってのミスミですが、当時はこれほどまでに内向きだったとは。中国事業に経験の浅い若手をあえて行かせるというのは、なかなかできないことです。中国に集中する間、他の国に巡航速度を守らせるというのも、できないことですね。むしろ、苦戦する新規市場をカバーするよう言ってしまいたくなります。
では。