【本】思考の整理学

思考の整理学

外山滋比古  ちくま文庫 2009/11

プレジデントの「ビジネス本」総選挙に掲載してあったのですが、いろいろ考えさせられる内容でした。初版は1986年。30年前の名著が、Google時代の私達の思考が変わってしまったことを教えてくれました。

情報が限られている時代には、ここにかかれている思考法が重要で、まだ見えない正解をいかに探すかは死活問題でした。

しかし、情報量が、爆発的に増え、iPhoneでどこでも、Googleできる現代では、思考法を磨かなくても、グリーンの上まで運ぶことが誰にでもできてしまいます。しかも、音声入力で。

一部の人(研究者?)には、本書にあるような思考法が引き続き必要でしょう。しかし、もはや、大多数の人には、検索方法さえ知っていれば、生きてはいけるようになったのではないでしょうか。それだけコントロールされるかもしれないのですが。

エピソードとしては、ホレス・ウォルポールの造語、セレンディピティが面白かったです。

18世紀のイギリスに、「セイロンの三王子」という童話が流布していた。この三王子は、よくものをなくして、さがしものをするのだが、ねらうものはいっこうにさがし出さないのに、まったく予期していないものを掘り出す名人だった、ということである。(中略)

セイロンはセレンディップと言われていた。セレンディピティというのは、セイロン性といったほどの意味になる。

p.67

では。