成毛 眞 ダイヤモンド社 2018/8
『ファイナンス思考』でも、アマゾンを取り上げてましたね。その財務戦略に興味を持っていたら、事業を解説する本がベストセラーになっていました。2000年には、”Blick and Click” とか議論をしていましたが、今やその先を議論する時ですね。
財務的な特徴は、まず、研究開発費。2004年に69億ドルだった売上高は、2017年に1778億ドルに急成長。
しかし、売上高営業利益率は、2.3%。規模の利益が働いているようには見えません。しかし、それに、売上高研究開発費率を足すと、15%。驚異的な儲けに見えます。
この投資を支えるのが、キャッシュ・コンバージョン・サイクル。アマゾンは、売上が立つ前に、キャッシュが入ってくる会社なのですね。
売掛金は、日商の22.1日分なのに、買掛金は79.7日分。この条件が維持できるなら、売上が増えれば増えるほど、キャッシュが増えます。
こうした条件にできる理由の一つは、マーケットプレイス(p.133)。売上金は一旦アマゾンに入金され、それを日をおいて返される。
マーケットプレイスの流通総額を550億ドルと試算し、総額の約9割を2週間後に業者に支払ったと計算すると、550億ドル✕0.9÷365日✕14日=19億ドル。p.134
事業に目を向けると、それこそ、いま注目する分野をきちんとカバーしています。
- オンライン販売(自社)
- アマゾン・フレッシュ、アマゾン・ダッシュ、
- オフライン販売
- ホールフーズ、アマゾンGo
- マーケットプレイス
- 物流(自社倉庫、自社トラック&飛行機)→自動運転
- AWS
- 出版
- 食品スーパー
- 金融(アマゾン・ペイ)
- IT企業(アレクサ)
経営面で興味深いのは、各事業部のシナジーを追っていないところ。もはや、バイアウト・ファンドのようにも見えますね。
では。