草月流の活け花を習っていた時に、「これは人事部長の参考になる」と思ったことがある。
草月には、真副控(しん・そえ・ひかえ)という基本がある。花には、AKBでいうところの「センター」(真)になるべきものと、サブ、ひかえを意識的に構成することを、美しい作品になる。
役割は、花の種類によって決まることも、全体のデザインによって、同じ花を違うポジションで使うこともある。ひまわりを控(ひかえ)に使うことは難しいし、かすみ草をセンターにするのも無理がある。この作品の「どこで咲かせるのか」考えるのが、腕の見せどころになる。
花を活けるということは、花と話すことでもある。傍目にはおかしなオジサンにしか見えないが、「君はどこに行きたいのかな」、「今日は元気がないな」とか思いながら、ポジションを決めていく。このコミュニケーション力がないと、いい作品にならない。
また、活け花では、花をバシバシ切っていく。決して、「あるがままの君でいい」わけではない。一輪挿しなら、そのままで良いこともあろう。しかし、複数本の中で咲く場所を見つけるには、高さを調整し、無駄な枝を切らなければならない。これを思い切ってしないと、作品全体がダメになってしまう。
花には、可哀想なことをするのだが、センスのある人が活けると、全ての花が輝きを放つから不思議。
「ああ、この花は、副になると、真がグッと輝く」
「この控があるからこそ、全体が締まっているんだなぁ」
といつまでも作品を見続けることができる。
西洋のフラワー・アレンジメントの差といえば、蜜度だろう。西洋がボリューミーなのに対し、活け花はスカスカ。欧米のMBAがびっしりKPIでカバーしがちなのに対し、日本が多能工を好み、「点」で従業員を管理しようとするのに似ている。
剣山の上に無理やり集められるのも、一瞬だけというお約束もある。 確かに作品は美しくても、ここの花には不満もあるでしょう。しかし、それも、数日のことであって、来週になれば、違う作品が待っている。このはかなさは、人事にも通じるものがあるかもしれない。
というわけで、グローバル人事でお悩みの企業は、活け花をやってみてはいかが?