タイの経営、日本の経営
藤岡 資正 カナリアコミュニケーションズ 2015/4
日系企業トップとのインタビュー集。欧米に学ぼうとか、日本は素晴らしいとかいうのではなく、アジアの国から学ぶ時代になりました。アジアならではの特徴もあります。最初はマンダム。p.21
アジア市場は日本と違い、値上げが可能な市場。(中略)アジアの消費者はインフレになれている。まずは薄利な価格で新製品を発売し、認めてもらえるとシェアが拡大する。徐々に値上げすることで利益率を改善していくとことができる市場
報酬についてはp.26
これからは現地従業員の給料が日本人駐在員のそれよりも高くなる国がたくさん出てくる時代になる。そうしないと転職していく。優秀な現地従業員を引き止める一つの対策として、本社籍にすることが挙げられる。
離職対策は、p.24
ジョブホッピングを完全に無くすことは無理だ。ただ、それで諦めるのではなく、従業員を階層別に見る必要がある。下の層は50%が残れば良しと割り切る。上にいくほど、他の従業員や記号の業績に影響が及ぶので、その上の層は80%、さらに上の層は90~95%を定着させる。
CP明治の社長、p.34
私は日本人の副社長と毎週1時間程度、定期的に会う。特に議題がなくても、最新の情報を交換する。明確にお互いを理解するために通訳を通して話す。
文化の違いは、p.35
日本人は商品の細部まで細心の注意を払う。(中略)日本以外の国の消費者はさほど細部にこだわらない。
中国企業は新市場に商品を投入する場合、スピーディーに進展させる。2~3ヶ月でやることを、日本では4年かけてやる。
オギハラ (タイランド) 社長。従業員が、社長あてに年2回手紙を書くのだとか。財務状況も公表。
奨学金はP.60
5年間は会社を辞めないという条件で、夜間高校なら年間4万バーツ、大学院なら年間12万バーツの授業料と本代を支給する教育プログラムを実施している。
サハグループ会長は6年間大阪で働いていたのですね。P.88
サムスンの方針は非常に厳しい。品質管理を徹底し、売れない商品を作るとすぐにクビにする。経営手法は日本企業にかつて存在し、今はなくなってしまった「軍隊」のような厳しさがある。P.92
昔の日本企業は、タイで成功する確率が高かった。なぜなら、自分が足りない部分をよく認識しており、謙虚な姿勢で、単体ではタイ市場で自信がないので、現地企業としっかりとタッグを組んでいたからだ。特に、マーケティング面は、現地パートナーへ権限移譲が強かった。最近は、海外戦略が変わり、本社が遠隔操作でやっているという印象を受ける。昔の経営のやり方は「陸軍」で、今は「空軍」だ。P.92
ベタグロ・グループCEOは、大企業とコミュニティがつながるシステムを学びたいのだとか。P.105
DKSHタイランド社長は、グローバル化とローカル化のバランスを説いています。p.108
各国の情報技術はすべてSAP(財務、給与、販売管理などの基幹システムを全て統合して一本化する)システムを導入している。ファイナンスも集約してセンターをシンガポールに置き、事業規模の大きいタイが例外的に独自の部門を持つ。ブランディング・人事も集約している。このようにバックオフィス機能を集約する一方、販売・マーケティングといったオペレーション機能は現地化している。
Meet and Greet the President は、p.113
従業員が20人ほどのグループを作る。各グループと1~2ヶ月に1度会って落ち着いて話をする。
勉強になります。