米国アルミ関税と規模の経済

アルミが揺れている。アメリカのトランプ大統領は、アルミの関税を引き上げました。日本のアルミ最大手のUACJは、社長交代人事でつまづきました。旧村上ファンド出身者が設立した投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが、2位の大株主に浮上したとか。
下のバブル・チャートは、横軸に売上高、縦軸に売上高純利益率(以下、利益率)、バブルサイズに当期純利益を取ったものです。

(資料:Fortune Global 2000 2017年版) クリックすると拡大します。

アルミは、「電気の缶詰」と言われます。製造に莫大な電気が要るので、規模の経済が働いていそうな産業ですが、そうは見えません。

最大手の中国アルミニウム、第2位のインドHindalcoの利益率は0.3%、0.2%。アルミの需要国である中印が供給過多に陥ったため、アメリカのアルコアの利益率も0.1%と低迷しているように見えます。米国アルミ産業が、生産調整が進まない中国に不満を持っていてもおかしくありません。

一方、UACJをこの図の中に入れると、日本最大手といえども、微妙な位置なのがわかります。売上世界一を目指せば、そこはレッドオーシャン。
利益率を高めようとしても、うまくやっているのは、電気の安い国の会社。UACJには、電気の安い国のアルミ会社を買収して、そこを目指すという戦略もあったかもしれません。しかし、そもそも、国内2社の合併すら消化しきれてないのに、クロスボーダーM&Aは望むらくもありません。

台湾のキャッチャーテクノロジーのように、製造業にビルトインされた高付加価値商品に特化という高付加価値戦略もあったかと思いますが、気がつくと、日本のエレキは、日本に居なくなりました。自動車で売上を稼いでいるのであれば、利益率はそこそこになるでしょう。

というわけで、確かに経営者の戦略が問われる5年間だったのが、この図わかります。

では。