ソーシャルウェブ入門
滑川 海彦 技術評論社 2007/4
『ザ・サーチ』のような新しさはありませんが、Web 2.0の現状について、コンパクトにまとまっています。Web 2.0を大学の教養課程で学ぶのであれば、よいサイド・リーダーになると思います。Google、はてな、YouTube、mixiなどネット業界の背骨となっている部分について、理解することができます。
今後の動きについては、最終章の20ページほどですが、ここはあくまでおまけと考えるべきだと思います。マイクロソフトが支配した20年が終わり、Webのプラトフォーム化が進む、その中心にはGoogleがいます。
Netscapeと対照的に、Googleはソフトウェアを販売したことも、パッケージソフトウェアを開発したこともない。Googleにはソフトウェアのライセンス供与もなければ、販売もなく、顧客の環境に合わせて、ソフトウェアをさまざまなプラットフォームに移植する必要もない。Googleのサービスはサーバではない。ユーザーはブラウザを通してGoogleのサービスを利用するが、Googleのサービスはブラウザではない。Googleの基幹事業は検索サービスだが、同社は検索結果に表示されるコンテンツすら所有していない。(オライリー氏のGoogle評)
PCからGoogleの動きを見ていると、「すべての情報のWebへの集中=Webのプラットフォーム化の流れ」(P.214)ということになるのでしょうが、モバイルの影響で違った動きも出るのかなと私は思っています。
最後は、やはりテレビの話になっています(P.216以後)。
わが国のテレビ業界は広告代理店の意向、総務省の意向、スポンサーの意向、芸能プロダクションの意向、系列企業の意向など本質以外の事情で自分をがんじがらめに縛りあげ、「オーディエンスが望むコンテンツをオーディエンスが望む形で媒介する」という肝心の本心を忘れていないだろうか?(P.219)
TBSと楽天のニュースを聞くと、暗い気持ちになりますが、やはり、リッチ・コンテンツの行方には、引き続き注目しようと思います。
では(^^)/^
追記
糸井さんが、この本について語っています。
イトイさんと聞く「ウェブ道具論」