【本】琉球処分

琉球処分
大城 立裕 2010/8/12

清国と薩摩藩に両属していた琉球が、明治維新を境に、日本に組み入れられていく物語。沖縄は、100年以上の時間軸をもってしなければわからないと思わせる小説でした。

江戸時代の薩摩藩に対する思い。中国との長い交流。近いようで遠かった台湾。明治政府は「外務省」が担当していた事実など。考えさせられることが多いです。

標題については、佐藤優氏の解説。

「琉球処分」という言葉が日本政府によって作られたということは、いまなお知識としてひろく普及しているとはいえない。沖縄の民衆がそのひがみから生みだした言葉だと、誤解している人が多い。下巻p508

同氏の沖縄観は、下巻p.509

日本本土と琉球では、歴史の出発に一千年も差がつき、琉球は中世をとびこして近世にはいったから、その後の歴史に無理が生じたのだと考えている。

一方、琉球側から見たヤマトは、こちらのとおり。

「われらは日本の恩義をほとんど受けていないではないか。そのような父祖の国があるか」

「日本からは、薩摩との苦しい交際があっただけだ」 下巻p.10

こういう感覚は、小説でも読まないと伝わってきません。

では