アフタービットコイン
中島 真志 新潮社 2017/10
日銀OBによるブロックチェーン技術の金融分野への応用解説本。不思議なもので、筆のタッチは、『わが国の金融制度』(日本銀行金融研究所)を感じます。平易でありながら、重要な点は網羅してあり、勉強になりました。金融関係者向けの入門書としては、ベストかと。
ビットコインについては、決済手段ではなく、投資対象になったとして、距離をおいています。しかし、ブロック・チェーン(分散型台帳技術)については、高く評価しています。各国の中央銀行が、この技術を使ってデジタル通貨の発行を模索し始めたり、国際送金や証券決済などに応用できる可能性を探っている様子がよくわかりました。
シンガポール住んでいながら、知らなかったMASの動きをメモ。p.180
R3とは、分散台帳技術を開発する企業。
MASでは、2016年11月に、ブロックチェーンを使ったデジタル通貨の実証実験であるProject Ubin を始め、2017年3月に完了。
DBS、HSBC、バンカメ、JPモルガンが参加。イーサリアムを利用。
第2フェーズは、
①証券決裁における資金ト証券の同時決済(DVP決済)
②外貨とシンガポールドルとの同時決済(PVP決済)
世界最古の中央銀行(1668年設立)を擁するスウェーデン。
現金流通高の名目GDPに対する比率(2015年末)をみると、日本の19.4%、ユーロ圏の10.6%、米国の7.9%などに対して、スウェーデンはわずか1.7%。
すでにキャッシュレスになっていることがアダになって、デジタル・キャッシュが普及しないのだとか。
国際送金の解説も充実していました。リップル・プロジェクトについては、p.229。
今年は、ブロックチェーンの金融サービスへの影響を実感する年になりそうです。
では。