21世紀の歴史――未来の人類から見た世界
Une brève histoire de l’avenir
ジャック・アタリ 作品社 2008/8
『国家債務危機』からの流れで、本書。
http://www.youtube.com/watch?v=-TCbaPfm2YU
市場の秩序は9つの都市における9つの形式(ブリュージュ、ヴェネチア、アントワープ、ジェノヴァ、アムステルダム、LDN、Boston、NY、L.A.)をたどってきた。たどりついたのは個人主義と市場主義。
21世紀の3つの波は以下のとおり。
- Hyperempire: 究極の市場主義が支配する世界
- Hyberconflict: 国境をまたいで跋扈する様々な暴力集団による破壊的衝突
- Hyperdemocratie: <市場民主主義>をベースとした利他愛に基づく人類の新たな境地
p.138では、「中心都市」(Coeur)を議論しています。ここは、リチャード・フロリダの考えに近い。21世紀はnomadeの時代。Hypernomadeは、エリート・ビジネスマン、学者、芸術家、芸能人、スポーツマンなど。inflanomadeは、生き延びるために移動を強いられる人々。
そして、10番目の都市について議論。東京の評価は、
日本の首都東京は、1980年にチャンスを掴みそこねたが、2030年においても普遍的な価値を創造する能力に欠如しているだろう。例えば、個人の自由は、東京の哲学的理想ではなく、東京は外国から才能豊かな人々を十分に集めることもできない。(p.190)
有望な産業についても触れている。
将来有望な産業を2つ挙げると、保険業と娯楽業である。p.155
(ソニーは、エレキを売却して、エンタと保険の会社になるべきなのだろうか。)
アメリカ帝国の終焉、HyperempireとHyberconflictを活写し、最終的には、TranshumainによるHyperdemocratieに希望を託す。
というわけで、よくも悪くもフランス的(平等覚家族的)な世界観です。
私の感想ですが直系家族な日本人視点から読むと、鼻につくところもありますが、確かにフランス人が活躍する場が増えそうです。20世紀は製造業の時代だった。直系家族なノリが、モノづくりには有効だった。日本、ドイツ、スイスなどが力をつけた。絶対核家族な国は、金融、IT、軍事など、それ以外の分野を押さえて、モノづくりの果実を刈り取ることに成功した。
21世紀に入って、台頭してきたのは、地表を抑えている国(BRICS)だった。なぜなら、通信技術が進むと、経済のキャッチ・アップが比較的容易になり、多くの人が豊かな暮らしをおくるようになってきた。資源の争いになれば、資源国が有利。資源を抑えているのは、デカイい国だった。こんなに大きな版図を抑えるのは共同体家族。
複数の家族形態地域で多極化が進むと、異文化コミュニケーションができる平等核家族な人が有利。直系家族なドイツ、イスラエル、日本人はIMFの専務理事になかなかなれない。異民族をまとめることができるのは、様々な民族と結婚できる人。DSK事件は、それを象徴しているように見えます。
では。