【本】ユニクロ潜入一年

ユニクロ潜入一年
横田 増生 2017/10

ユニクロ潜入取材記。販売現場の様子がよくわかり、参考になりました。企業のグローバル化が進み、製造・販売で生産性を究極まで求められると、さまざまな軋轢が生じるのが実感できます。

いくつか、教訓があります。ひとつは、経営者と従業員の関係。ユニクロも直系家族的な企業文化です。それゆえに、SPAを確立できたと思うのですが、その歪もよくわかりました。ヤマト運輸の小倉社長が、むしろ労働組合を作って正面から立ち向かっていたのとは対照的です。

もう一つは、広報のありかた。直系家族的な会社が避けなければいけないことをすべてやってしまっているようでした。メディアの批判を検証する力も無かったですし、名誉毀損で訴えて負ける。さらに、記者を会見から排除して、潜入ルポを書かれてしまう。

ネット時代には、すべての企業がこうしたリスクを覚悟すべきなのでしょう。アパレルのような軽工業が、典型的な産業として描かれていますが、会計ソフトがクラウド化すれば、サービス業であっても、同じようなことが起こるのではないでしょうか。競争を否定するものではないですが、どこで立ち止まって、修正できるか。指導者には、難しい判断が続きます。