スティーブ・ジョブズの流儀 Inside Steve’s Brain by Leander Kahney 2008 この本は、白くてシンプルな装丁です。Appleは、自社のことを書く本にまで影響を与えるような会社なんですね。 AppleとSONYの株価は、チャートのとおりです。
APPLEの株価がすさまじく上がったので、ソニーが電力株のように見えてしまいますね。Apple本は、あまたありましたが、この本は、簡明でかつポイントをついており、読み返したくなる一冊です。 Interim CEOとして戻ったとき、売上げは60億ドルまで落ち込み、3四半期の損失は10億ドルに達していました。
アップルは売上げ120億ドルの黒字企業にはなれないし、売上げ100億ドルの黒字企業にもなれないが、売上げ60億ドルの黒字企業にはなれる。 p.35
こうして、得意な分野に事業を集中していきます。2008/9期は、売上高324億ドル。EBIT68億ドルになりました。
フォーカスとは『ノー』と言うことである p.49 スティーブのやり方がほかのみんなとちがうのは、最も重要な決定は何をするかではなく、何をしないかを決めることだ、と信じていた点だ。p.80
そうなんですよね。でも、できない。この選択と集中を進めるときに、ジョブズは自分の限界を知っていました。 【得意】
- 新製品開発
- 製品プレゼンテーション
- 交渉
【不得意】
- 映画の監督
- ウォールストリートへの対応
- オペレーション
- 目移り
企業を立て直そうとすると、ふつうフル回転してしまいますよね。これもお見事。 そして、フォーカスするデザインにこだわる。
ジョブズにとって、デザインとは装飾ではない。製品の見た目ではない。色合いは細かな様式ではない。ジョブズにとって、デザインとは製品の働きそのものである。p.91
そして、体勢を立て直すと、新商品に取り組みます。
Good artists copy. Great artists steal. by Pablo Ruiz Picasso p.231
そして、ジョブズは、
Creativity is just connecting things.
磁石のメタファーが出てくるのですが、磁場を持っていることが新製品につながるんですね。 マーケティングにかける意気込みも、思わずうなってしまいます。Mac Worldの準備に社長がどれほど情熱を注いでいるか。B2C企業の方は、お読みください。 感性の時代に、自分の会社をどう変えるか考える際に、参考になりますね。
では。
【参考】
日経ビジネス 2008/12/15 p.68 にフリービット石田社長の書評が掲載されました。