岡島 悦子 幻冬舎 2017/7
自分がいつのまにか、50歳目前なのにボーゼンとする本。「荻野目ちゃんカワイイ」とか言っている場合ではない。
冒頭で強調されるのが、現代のリーダーシップが変わったこと。こうした不確実な時代に指揮をとる経営者は、戦略的かつ計画的に生み出さなければならないということです。p.4
新しいリーダーシップが伝わるのが博多マルイのケースp.18。新しい働き方の例として、カルビーとリクルートを取り上げています。カルビーは、コクヨの「オフィスダーツ」を導入。サイロをなくす具体的な取り組みが既に始まっているのですね。
顧客のインサイトを知る重要性は、人工知能が発達することで、むしろ明らかになってきます。
何を面白いと感じるのか、何にドキドキするのか、これを抽出するのは人間にしかできません。p.41
第2章は、リーダーシップの変化を具体的に論じています。富士フィルムの例はp.66。社長の決断だけではなく、現場力が破壊的なイノベーションを起こしたとのこと。
加えて、破壊的なイノベーションを起こすための「ゆらぎの設計」は、p.68。低すぎる離職率はむしろ危険とし、10%ていどがちょうどよいとのこと。
第3章は「40歳社長」のつくり方。後継者育成計画を具体的に示しています。印象的だったのは、セプテーニがAIを使って「最適配置」に取り組んでいること p.98。
第4章は、ダイバーシティについて。いいなと思ったのは、リッツ・カールトンのTwenty one days p.125
読み終えると、日本人以外の高度人材を、どうやったら、日本企業にリテンションできるかという取り組みに感じました。本書は、破壊的なイノベーションを起こすことを目的としていますが、アジアの現場では、すでにローカルに経営を任せなければ、競争していけなくなりつつあり、そのニーズの方が強いのではないかと思いました。
また、企業文化についての洞察を次回作で期待したいところです。直系家族な企業文化では、「公職追放」が良く効きます。今の商工中金や神戸製鋼に対して、安倍首相が「公職追放」を指示したら、実は、素晴らしい企業に生まれ変わったりするのかもしれません。こういう企業文化を変えずに制度変更でよいのか。あるいは、企業文化自体を変えなければならないのか。羊飼い型のリーダーシップは、平等核家族的な企業文化では成功するが、直系家族的な企業では無理なのでは?
という点が、気になったところでした。
では。