【本】人工知能 機械といかに向き合うか

人工知能 機械といかに向き合うか

Harvard Business Review 2016/9

誤変換の「機といかに向き合うか」というのが、むしろ副題にはよいのかと思うような本。安宅和人さんの章を読むと、私が余計な心配をしているのもわかりました。

機械学習をベースにしたAIの利用は以下の3つの分野。

同書 p.46
  1. 識別
  2. 予測
  3. 実行

AIにできないこと。

  1. 意思がない
  2. 知覚ができない
  3. 事例が少ないと対応できない
  4. 問を生み出せない
  5. 枠組みのデザインができない
  6. ヒラメキがない
  7. 常識的な判断ができない
  8. リーダーシップがない

ちょっと意外だったのは、松尾豊教授のビジョン。

ディープラーニングの発展は、最終的には日本企業のお家芸ともいえるモノづくりの復権につながると考えている。なぜなら、模倣できない職人的なノウハウを持っていることが、これからは圧倒的な優位性につながるからだ。p.120

これまで体系化することのできなかった職人のノウハウを自動化できる p.121

ためだそうだが、どうか。

そういう言葉があるのかと思ったのが、アルゴリズム回避

人間は常にアルゴリズムよりも人間自身が下す判断を好む。p.150

人間もアルゴリズムもミスをするのに、アルゴリズムがミスすると信頼を失い、人間がミスするほどには許されない。

第8章は、機械は我々を幸福にするのか。ここで、Great Decouplingについて説明していました。

労働生産性、一人あたり実質GDPは伸びているのに、民間部門の雇用者数、家計所得の中央値が伸び悩んでいますね。人工知能がさらに生産性を高めた結果、我々の所得がどうなっていくのか、興味深いところです。

では。