村上 春樹 新潮社 2017/2
『ノルウェイの森』依頼で、村上作品を読みました。今年は、大学に入って30年。良くも悪くも、入学した1987年を思い出させる作品でした。
まずは、「色気のなくなった自分」を認識しました。どこかの雑誌で、男は、学生時代は、小説、音楽、映画などの話をしていたのに、おじさんになると、仕事の話しかしなくなると、読んだことが有りました。「そうです、私がそのおじさんです」
2つの世界の行き来は、ついていけませんでした。イデア、メタファーなどが何を暗示しているのかを考えながら読みましたが、結局、わからず。
モノ(音楽)への造詣は、いまは、どう受け止められるのだろうとは思いました。1987年はバブルへの階段を登り始めた時で、こうした知識についていかなければと思いました。今では、そう思うのは、少数派でしょうね。映像化したとしても、地上波で数字がとれると思えません。
描かれる女性は、変わっていませんね。高校生までは太宰・芥川止まりだったのが、突然、ノルウェイの森に出くわしたので、かなり新鮮でした。男目線の描き方だなと。
いろいろ文句はありつつも、文章のうまさは、相変わらずでした。これだけのボリュームを流れるように書くというのは、すごい才能です。自分が年取ったなと感じる作品でございました。