”The 100-YEAR LIFE” Living and Working in an Age of Longivity”
リンダ グラットン (Lynda Gratton) 東洋経済新報社 2016/10
ロンドン・ビジネス・スクール教授のキャリア論。
2007年に日本で生まれた子供の半分は、107年以上生きることが予測される。p.1
人生100年時代には、これまでの「学生、社会人、引退」の3ステージ・モデルが通用しなくなると説きます。
80歳の後に20~30年生きるとしたら。第7章で、具体的な必要資金が示されていますが、足りなっくなるのは、すぐにわかります。
この新しい現実に対応する人生の過ごし方は、第6章。エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカーという人生の新しいステージが必要になるとしています。
1. Explorer (探検者)
様々な可能性を試す、探検・探索の時期。現在、これができるのは、学生時代ぐらいですが、人生100年時代には、社会人の期間が伸び、何度か、Explorer になる必要が出てきます。
2. Independent producer
組織に属さないフリーランサー。起業家と異なり、永続的な企業を作ったり、売却することを目的にしていません。組織に雇われず(Independent)、仕事に取り組みます。
3. Portfolio worker
異なる活動を同時並行で行う人。。例えば、週3日仕事。1日は社会貢献、1日は学習など。
こうした変化についていくため、第4章では、無形資産(Intangibles)が必要と主張。
1. Productive assets (skills and reputation)
2. Vitality assets (health and friendships)
3. Transformational assets (self knowledge, diverse networks and openness to experience)
こうした変化は家族にも影響を与えます。第9章。4世代が当たり前になり、(離婚しなければ)結婚生活が50年を越す。共働きでなければ、Explorer となるのは難しいでしょうし、子育て、介護の時期には、役割分担の大幅な見直しが必要になるでしょう。
以下、感想です。全般的に、絶対核家族な価値観がベースになっており、直系家族な国では、また違った受け止め方があるでしょう。直系家族な国では、勤務先が評判に直結します。しかし、65歳で引退しようとした時にまだ40年あるという現実は、こうした国でも、大きな変化をもたらすと思いました。
私の人生を当てはめてますと、30歳で長銀が破綻し、Explorer になりました。証券アナリストとMBAを取得し、世界を旅しました。アメリカ自費留学を選んだのは、学生時代から、先輩、友人が海外で学ぶ姿を見ていたからです。Transformational assetsを積んでいたおかげで、Productive assetsを積めたと言えます。このおかげで、金融マンからマネジメントにキャリアを変更できました。
一旦、会社勤め(経営企画)に復帰しますが、37歳でIndependent producerになりました。1つの組織に属さず、マネジメントのお手伝いを複数の会社に対してやりました。
結婚して、共働きとなりました。振り返れば、私のような所得の不安定な男と結婚してくれるのは、キャリアの女性だけだったかもしれません。子供が生まれて、家庭の仕事分担も大きく変わりました。メイドが雇えない日本では、私のような働き方でなければ、女性に過度な負担がかかると実感いたしました。所得は落ちたかもしれませんが、健康でしたし、子供と過ごす時間は十分に取れました。Vitality assetsは、むしろ増えました。
43歳でシンガポールに移住したのは、再びExplorerに戻るということでした。初めての海外勤務、ローカル企業でターンアラウンドは、何もかも、初体験。私のProductive assets は、急増しましたが、心身ともにボロボロに。そんな中でも、妻が子供を連れてきてくれたのは、彼女も、海外で修士を取得し、仕事ができた(Productive assetsがあった)こともあったと思います。
47歳で、シンガポールに会社を作って、Independent producerに戻りました。今度は、日本から5000kmも離れましたが、なんとか生き延びているのは、Transformational assets (Diverse network)があったおかげと思っています。昔から、名簿のメンテが好きで、同窓会を開いてきましたが、30年の蓄積で、友達から仕事をもらえるようになりました。
SNSも、強力な営業ツールとなっています。Facebook、Twitter、LinkedIn などで、weak ties が途切れなくなり、何か人手が必要な時に、私を思い出してくれています。
50歳目前にして、さすがに、飛び込み営業はキツくなってきたので、年齢相応の仕事を考えるようになりました。昨年から始めた講師の仕事は、経験が役立ちますし、若者を育てるやりがいもあります。徐々にPortofolio worker の準備を始めているというところでしょうか。
勉強になりました。