小泉良 1996/3 星雲社
これほど、商品市場が注目を集めているのに、商品相場について書いた本は少ないですね。本書は、古河電工の営業部長が、日本にアルミ先物市場の必要性を訴えた書いた本。その熱意があまりに強くかつ、実現にあたって壁が大きいため、商品(先物)以外への筆に力が入りすぎていますが、アルミ先物については、丁寧に説明してくれています。
p.147に79年以降のアルミ価格チャートが掲載されています。過去は、キロ550円なんていう時代もあったんですね。1ドル250円の時代なので、単純に今と比較はできませんが、そういった時代もあった。
この時に、日本はアルミの精錬から撤退。その後は、加工中心にしていったため、世界最大のアルミ輸入国になります。一番の大口顧客なのに、その価格は、ロンドンのLMEでドル建てで決定され、しかも、「ジャパンプレミアム」を支払うことになる。日本に円建ての先物市場があれば、為替リスクを考えずに円ベースでアルミのヘッジができるという、非常にシンプルで強い主張で本書は進んでいます。しかし、その行く手には、さまざまな抵抗があるんですね。
(アルミが)相場商品になってしまった以上は取引所が必要であり、さらにその数を増やして行く以外に正しい方法はない。とりわけユーザーの立場を有利にするには、自前の取引所で、時刻の通貨建てで価格を唱えをすることが絶対に必要である。p.64
チャートは、95年で切れているのですが、現在は、4番目の波が来ているところなのだと思います。もし、今年450円を示現した場合、日本のアルミ産業はどう対応するのでしょうか。資源戦争を考えるひとつの局地戦として注目しています。
では(^^)/~