2016/5 講談社 野口悠紀雄
野口教授がスマホの音声入力を使って書き上げた初めての本。ついにここまで来たということを、眠れる森の美女の一節を引用しています。
「あなたでしたの?王子様。ずいぶんお待ちしました。
‘Est_cevous, non prince? lui dit-elle, ‘vous vous etes bien fait attendre’. p.42
音声入力の変換精度が改善し、キーボード入力より速く書けるようになりました。しかし、誤変換の修正などの時間を入れると、キーボードと変わりはなくなってしまいます。しかし、著者が強調するのは、着手が容易になることと、頭の中の見える化です。(p.108あたり)
キーボード入力は、机の前に座るまでに時間がかかっていました。それが、音声入力は、気がついた時にメモを作っておけば、それが文書につながっていきます。
頭の中の見える化は、頭のなかにあることを文字にしていくことで、徐々に、本質が見えてくるということです。
以下感想です。技術面では、特に参考になることはありませんでした。ここが、30年前の本の今の本との違いだと思います。30年前は、コンピュータの知識を得るには、本を読んだり、先生に習うよりありませんでした。しかし、今は、圧倒的な文字をネットで読んでいます。本書を読むと、「どこかで読んだ」情報のモザイクに見えてきます。これが、今のノウハウ本の宿命と言える点だと思います。
個人的には、音声入力は、長文作成よりも、ショートメッセージ(含むコマンド)が主戦場だと思っています。組織の情報共有が、メッセージング・アプリでどのように変わっていくのか楽しみです。