【本】市場の倫理  統治の倫理 

sijoSystems of Survival: A Dialogue on the Moral Foundations of Commerce and Politics (1994)

Jane Jacobs 日本経済新聞社 1998
市場の倫理、統治の倫理は、p.311。

  • 市場の倫理
    • 暴力を締め出せ
    • 自発的に合意せよ
    • 正直たれ
    • 他人や外国人とも気やすく協力せよ
    • 競争せよ
    • 契約尊重
    • 創意工夫の発揮
    • 新奇・発明を取り入れよ
    • 効率を高めよ
    • 快適と便利の向上
    • 目的のために異説を唱えよ
    • 生産的目的に投資せよ
    • 勤勉なれ
    • 節倹たれ
    • 楽観せよ

  • 統治の倫理
    • 取引を避けよ
    • 勇敢であれ
    • 規律順守
    • 伝統堅持
    • 位階尊重
    • 忠実たれ
    • 復讐せよ
    • 目的のためには欺け
    • 余暇を豊かに使え
    • 見栄を張れ
    • 気前よく施せ
    • 排他的であれ
    • 剛毅たれ
    • 運命甘受
    • 名誉を尊べ

論旨は、訳者あとがき p.337の通り。

  1. 人間がその必要なものを入手するには、縄張りから取得する(take)か、またはお互いに取引する(trade)。前者は他の動物と同じ生活だが、後者は人間だけが行う。
  2. 人間の生活にこの2つの様式があることに対応して、人間の社会的道徳にも統治の倫理(たとえば忠実)と市場の倫理(たとえば誠実)の2つがあり、両者はしばしば相互に矛盾し対立する。
  3. したがってこの2つの倫理を混同すると「救いがたい腐敗」が生ずる。
  4. これを避けるには、統治者と商人を身分的に区別するカースト制を布くか、または課題に応じての統治の倫理、市場の倫理のいずれかを自覚的に選択するか、2つに1つである。
  5. 民主主義の下では身分制はとれず、自覚的倫理選択が必須となる。

今のアジア経済を分析するよい視点と思いまいた。