【本】和の国富論

和の国富論

藻谷 浩介  新潮社  2016/4

藻谷さんの対談集。新たな経済理論を発表しているわけではありません。東南アジアは、日本食が流行っていますが、その後に、日本から学ぶことは、本書に書いてあるようなことではないかと思いました。

第1章 「林業」に学ぶ超長期思考、速水亨。四半期決算がそぐわない業種として林業は、興味深かったです。

第2章 「漁業」は豊かさを測るモノサシである、濱田武士。「マナ物」であるがゆえの漁業の特徴がわかりました。北陸は、魚の魅力を全面に出して、観光客を集めればいいですね。

第3章 「空き家」活用で日本中が甦、清水義次。シャッター通りは、シャッターにしておいて大丈夫なオーナーの問題という指摘。清水さんの先進的な取り組みが、岩手県の紫波町で行われていました(オガールプロジェクト) 優秀なマネージャー(佐々木廣さん)がいるかいないかという視点は、飲食店の海外進出と同じだと思いました。
北九州市古森の家守プロジェクトも興味深かったです。

第4章 「崩壊学級」でリーダーが育つ、菊池省三。先日のエマニュエル・トッド氏のインタビューを読んだ後だと、日本の教育現場の話は、非常に興味深いです。

真のエリートは、崩壊した学級にあっても下二割の仲間を切り捨てず共に歩んだ経験を持つ、「スーパーA」の中からしか生まれないのだ。p.118

秋田県についての言及。

秋田県は小学生の学力テストの結果が一位ですが、そえでどんな良いことがあったのか?勉強のできる子を都会に出すばかりで、出生率が特に低く、一村を除いて県内の全自治体がいわゆる「消滅可能性都市」とされてしまった。p.130

東南アジアでも、こういう問題が顕在化してくることでしょう。

では。