大前研一 プレジデント社 2014/11
プレジデント誌の連載をまとめたもの。海外にいるとありがたい。身につまされるのは、p.42
今どきの企業参謀は難しいと思う。エスタブリッシュされて、ある程度世界化を果たした日本企業で戦略を立案するといっても、やれることは限られる。
それでも、参謀の心得は以下のとおり。
- 参謀たるもの、「イフ」という言葉に対する本能的恐れを捨てよ
- 参謀たるもの、完全主義を捨てよ
- KFSに徹底的に挑戦せよ
- 制約条件に制約されるな
- 記憶に頼らず分析を
究極は、p.44
自社のインタレストは捨てて、「この人を輝かせるためにどうしたいいか」だけを考える。
東南アジアでビジネスをしていて興味深かったのは、ヘイコンサルティングが、日本の課長級を1とした場合の給与レベルの話 p.57
日本の部長級は1.36なのに対して、中国は1.64。本部長・事業部長クラスではさらに差が開いて、1.68対2.57。
タイにおいては、課長級は0.49と日本の半分以下だが、部長級は1.35と日本と同水準となる。これが本部長クラスでは2.24まで伸びて、伸び率としては日本の倍以上となるのだ。
外交で面白いのは以下の考察。
自民党政権の外交はきわめて特殊で、近隣諸国との非常に重要な案件に関して、吉田茂や佐藤栄作、田中角栄など、時の指導者が「密約ベース」で外交関係を築いてきた。(中略)”属人的な外交”であり、その内容を文書として残していない。p. 274
本来、自らの手で行うべきだった戦争責任を詰め切れなかったことが、靖国問題の原因と指摘しています。南京記念館の話が盛り上がっていますが、このあたりの分析も必要かと。
では。