大前研一 光文社 2009/1
大前さんの日本人論。20年間、本を読ませていただいた私から見ても、こうボヤきたくなるのは、わかる今日この頃です。
日本人の集団知の低下を嘆いているわけすが、その中心となっているのが「B層」をめぐる議論です。その起源を小泉首相の登場としています。私は、似たような感覚を宇多田ヒカルさんの登場のときに感じました。
郵政民営化というひとつのテーマで自民党に入れたB層は、年金というひとつのテーマで民主党に入れました。今のねじれ国会は、その自業自得なのですが、考える力の低下がその原因だというのが、本書を流れる通奏低音になっています。
あとは、かなりの分量のボヤきになっているので省略しますが、印象的だった話題が2つ。ひとつは、第6章で展開される世代観。
- 偏差値世代
- ジャンプ世代
- ゲーム世代
- ケータイ世代
とその特徴を整理しましたが、有意義でした。
もうひとつが、21世紀の教養。かつては、クラッシック音楽や古典が中心であった話題が、地球市民としての関心とYouTubeの話題になっているのだそうです。たとえば、現代のエクゼクティブ共通の話題は、
あなたは、近年の環境問題とその対策について、どう思うか?
アフリカのエイズの人たちのために、あなたは最近何をしたか? p.403
現代のノーブレス・オブリージュとして、キリスト教のTithesの精神を紹介していました。p.407
YouTubeといえば、S. Jobsのスピーチや、パウシュ教授の最後の授業などは、瞬時に世界で共有されましたね。
子供の教育を考えるときには、まず、20年後に「教養」と呼ばれるものが何なのか考える必要がありますね。
では。
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