【本】グーグル ネット覇者の真実


In the Plex: How Google Thinks, Works, and Shapes Our Lives
スティーブン・レヴィ 阪急コミュニケーションズ 2011/12

Google社内を取材する許可をもらったジャーナリストによるドキュメント。同社に関するニュースのウラ側を垣間見ることができます。
最初に印象的なのは、教育の創業者への影響。何かとお騒がせな同社ですが、ユニークなサービスをためらいもなく投入していく姿勢は、モンテッソーリの影響を感じます。もう少しうまいコミュニケーションがあったろうと指摘するのは簡単ですが、いつ本格普及するのかわからない日本の電子書籍を考えると複雑な思いではあります。

中国政府との衝突は、考えさせられますね。グローバルに展開する企業は、文化・政治との折り合いをどこでつけるか判断を迫られます。Googleは利益も出てますし、体力もあったので、撤退という判断もできました。もし、自分の会社が赤字で、中国進出より成長の余地がなかったどうだったでしょうか。

経営学的には、20%ルール、OKRによる管理が参考になりました。創業者とエリック・シュミットCEOとの関係は、直系家族な企業では真似できないものだと思いました。
意外なのは、コスト削減にも、地道に取り組んでいる点。無料食堂は有名ですが、そこもきちんとメスが入っています。

読み終えて、典型的な日本企業にはほとんど参考にならないと思いますが、いま「あちら側」で起こっているイノベーションは、こういう社風が支えているという勉強にはなります。結局、教育に戻るということでしょうか。日本の教育は、工場で役立つ人材を育てるところから始まっています。この根本部分を変えた教育を受けた人が出てこなければ、こういう会社は日本に根付かないのではないでしょうか。