献本いただきました。ありがとうございました。
御厨先生の門下生がまとめた民主党政権の中間決算。学者だけでなく、官僚や、民間企業勤務者がそれぞれの切り口で、2年間を分析しており、政権交代の意味を振り返ることができます。
たとえば、第2章では、ネクストキャビネットを検証しています。影の内閣のほとんどが実際の閣僚にはならなかったのでありました。しかし、「シグナル」としては意味があったのがわかります。
第8章では、政策の調整を観察しており、図8-1の「調整のマトリックス」は、調整方法の変化を理解するのに役立ちました。
第12章では、企業の政策渉外担当者の視点から、この政策決定プロセスの変化を観察しており、これも興味深いものでした。自民党時代の、業界団体と省庁(官僚)に頼った政策立案とは大きく変化したのがわかります。企業の担当者は、民主党議員にネットワークがなく、戸惑う姿が率直に描かれています。
第11章では、日銀の独立性を取り上げています。今となっては、日銀総裁が空席になったのたが懐かしいところですが、政権交代後、日銀が民主党とのコミュニケーションを質的に変化させているのがわかりました。
目下、消費税問題に目を奪われがちですが、前回の選挙で投じたわれわれの1票がどういう意味があったのかを考える上で有益な本だと思います。