歌田 明弘 アスキー新書 016 2007/6
週刊アスキーに連載を持つ著者のメディア論。題名は通信と放送の融合の話ですが、幅広くネット世界を論じています。
印象に残ったのは、ネットが「狭く」なっていることとテレビの力。Web 2.0 を論じるときに中心になるのは、「みんなの意見は案外正しい」かということでした。ジェームズ・スロウィッキー の主張をうらづけていた多様性、独立性、分散性を最近のネットは失いつつあり、一様な世論を形成しやすいのだそうです。オリンピックをめぐる中国の言論空間などは、その典型かもしれませんね。
もうひとつは、家庭にいて映像の出力装置として最大の満足を与えてくれるものはやはりテレビという認識。著者は、居間にドンと存在するディスプレイの影響力を認め、テレビをネット経由で映像が出力される端末と位置づけています。
改正放送法が施行されたこともあり、いよいよ2008年は、テレビがネット・ディスプレイになる年となりそうです。ビジネス側からの動きが鈍い気はしますね。
では。