CONNECTED
The Surprising Power of Our Social Networks and How They Shape Our Lives
Nicholas A.Christakis, James H.Fowler
講談社 2010/7
社会的つながりが普段の行動にどれほどの影響を持つか考えさせられる本。
個人の行動に影響を与えるのは、知人連鎖の3人目以内にいる人の行動。それは、情報だけでなく、笑い、幸福感、孤独感、性行動、離婚、健康、自殺、肥満、喫煙、禁煙、投票など、さまざまな分野に渡っています。
直接つながっている人が幸福だと、本人も約15%幸福になるらしいことが示されている。(中略)2次の隔たりに対する幸福の効果は約10%、3次の隔たりのある人に対する効果は約6%もあうrのだ。p,71
この影響が「3次止まり」なのも興味深い点です。たしかに、ビジネスでも、知人の紹介までは話が進むのですが、その先に行くと、急速に熱が冷めますね。
また、トピックによって影響度が変わります。
直接繋がっている人が孤独であれば、あなたは約52%余計に孤独を感じるらしいことがわかる。2次の隔たりのある人の影響は25%、3次の隔たりがある人の場合は約15%である。p.80
肥満や禁煙は(高学歴者の場合)は影響する。結婚すると男性は健康になる。孤独を感じている人は友人を失いやすい。腰痛まで社会的なつなありに影響されるのはご愛嬌。
第6章では政治への影響を分析しています。オバマ大統領の有権者同士を結びつける才能が、世界を動かしてしましました。メモ。
- 300万人以上から6億ドルの寄付を集めた
- ITスペシャリストを重用した(ジョー・ロスパースとクリス・ヒューズ)
- my.barackobama.com の登録アカウントは150万人
- 選挙関連イベントは15万件
- 35000のグループ
第7章では、ネットワーク力に対する遺伝的要素の影響を分析しています。
”Survivor”を取り上げています。MBAでみんな死ぬほど忙しいはずなのに、なんでアメリカ人学生がテレビに夢中なのか理解できなかったことを思い出しました。たしかに、無人島に見知らぬグループを投入するというのは、人的ネットワークを分析するのに興味ふかい実験ですね。
遺伝子は、私たちがどの程度社交的かということだけでなく、周囲を取り巻く広大な社会的ネットワークのどこに位置するかも大きく左右するのだ。p.290
例として、双子の分析を紹介しています。
最後に「ダンバー数」
(ダンバーは)人間の大きな脳に見合う社会集団の規模を150人善後と推定した(中略)動物は、脳の処理能力を超える規模の社会集団では結束と統合を維持できない。
日本の与党が衆議院の過半数(240名)を安定的に維持できないのは、こうした理由もあるのでしょうか。