日本バイアウト研究所 中央経済社 2011/3
経営者向けのバイアウト解説書。第一線のプロが分担して執筆しており、金融関係者でなくても、勉強になります。
第8章 外国資本の子会社に対する投資では、日本ドライケミカルのケース・スタディが収録されています。
親会社が、旭硝子→Tyco→大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツと変わり、株主の変化が経営にどのような影響を与えるのかがよくわかります。
Tycoといえば、2000年にMBAの戦略論を学んだときは、お手本企業でした。
http://hbr.org/product/tyco-international/an/798061-PDF-ENG?Ntt=tyco%2520international
典型的なコングロマリットで、買収を中心とした成長戦略は、グローバルな経営管理システムによって維持されていると習ったものでした。
タイコ傘下時の組織図(p.229)を見ていると、アメリカ系グローバル企業のマネジメントを日本企業に当てはめたときの長所・短所がわかります。
重要だと思うのは、タイコ時代の長所。コスト管理・採算管理の徹底や、キャッシュフローの改善、資産のスリム化など、成果も上がっていました。
短所は、縦割り組織、R&D圧縮、人事政策。これも、日本の外資系企業でよく聞く話ですね。
社長がインタビューで子会社メンタリティーからの脱却に触れいてるのが印象的です。
東電は早々と救済が決まったようですが、日本企業も、資本政策を含めた「シェイク」が必要だと思わせてくれる1冊です。
【参考】
http://www.jbo-research.com/common/pdf/buy-out-series-saihen.pdf