The DRUCKER LECTURES 1943-1989
アチーブメント出版 2010/12
通常なら「温故知新」とか書きたいところですが、古さを感じません。ドラッカーが終生「GMとともに」を最高の経営書と考えていたように、我々もドラッカーの著書を読み続けることでしょう。
ドラッカーの思想は、すでに十分すぎるほどその著作で表現されています。しかし、教科書がどんなに充実しても授業がなくならないように、本人の「語り」によって理解が深まることがあります。そこが本書の良さです。
一番印象に残ったのは、組織の巨大化でした。
1911年、アメリカの最高裁判所は、当時わが国最大の起業、スタンダード・オイルを34の起業に分割する命令を出しました。しかし1940年になるまでに、これらの分割子会社はすべて、従業員数、資本金、そして売上高8ずれの指標をとっても、その30年前の親会社の数字を上回ったのです。p.81
20世紀は巨大組織の時代でした。これが知識社会の導線でした。
今の私たちに、知識のある人に向いている仕事があるという事実は、組織がもたらした成果なのです。p.84
微笑ましいの1914年のこの話。
48人の州知事のうち、専任でその職務にあたっていたのは6人に過ぎなかった、p.85
就業構造の面からみれるのが、1911年のイギリス国勢調査。被雇用者人口で最大だったのは召使い。
この20世紀が始まったときには、はるか昔と同じように膨大な数の召使いがいたにもかかわらず、この世紀が終わる頃にはほとんどいなくなってしまった。p.184
そして、産業労働者が爆発的に増えた。
最近の150年間で最も恩恵を受けたのは、産業労働者です。p.187
巨大組織が出てきたので、マネジメントが必要になり、経営者が重要になりました。しかし、そんな時代が突然終わった。知識社会の到来の例はどれも秀逸ですが、印象に残るのは、1920年まで、アメリカの医者、弁護士の通う学校が無かったということ。見習いで十分だったのです。
こうしてひとつの物語としてドラッカーを振り返ると、我々の目指すべき道は明らかですね。
Knowledge has to be improved, challenged, and increased constantly, or it vanishes.
とても直系家族な経営思想であって、日本のビジネスに理解を示したのもそのためなのかもとも思いました。
Amazonの書評を読む