競争と公平感
大竹 文雄 中央公論新社 2010/3
日本は、資本主義の国のなかで、例外的に市場競争に対する拒否反応が強い。市場のメリットと公平について考える本。
冒頭に4つのアンケート結果が紹介されてます。(順番は私が変えました)
Q1 政府(再分配)の信頼
自立できない非常に貧しい人たちの面倒をみるのは国の責任である
Q2 市場経済の信頼
貧富の格差が生じるとしても、自由な市場競争で多くの人々はより良くなる
Q3 自助努力の信頼
人生の成功を決めるのは運やコネが大事である
Q4 能力給の浸透度
同じ年齢で同じ仕事をしている秘書2人の能力に差があったとき、両者に賃金格差があるのは不公平である
日本を資本主義発祥の地イギリスと、社会主義本家(だった)ロシアと比較してみました。
各質問は、ソースも違いますし、一部調査年も違いますので質問間の比較は意味がありません。
Q1は、多くの国で8割を超えるが日本は59%。資本主義をやりつくしたイギリスは、再分配の重要性を認識。もともと社会主義のロシアは違和感を持っていない。しかし、日本は違う。
Q2では、多くの国では70%以上がYesと答える中、日本は49%の人しか賛成していない。日本の市場メカニズムに対する不信感はロシアに近い。
Q3 イギリスは自助努力の力を信じているのに、日本とロシアは運とコネの力を認識。
Q4 イギリスは能力給に理解があるのに、日露はない
日本は、ロシアに近いのに、政府の再分配をロシアより信じていないんですね。
あとは、市場経済のメリットについて述べているのですが、その回答は、経済学の基本的な考え方なのですが、日本人にはそれが共有されていないのが逆にわかります。
家族類型的に言えば、経済学は絶対各家族の国を中心に発達したので、市場経済のメリットを信じている。しかし、直系家族(日本)や共同体家族(ロシア)は、家長の裁量に理解をしめし、市場による効率的な配分を信じていない。ということですかね。直系家族でも韓国や台湾乖離があり、このあたりは、「直系家族の罠」が発生しているかどうかなのかなという仮説を立てております。
では。
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