世紀の空売り
マイケル・ルイス 文藝春秋 2010/9
The Big Short: Inside the Doomsday Machine
21世紀になっても、『ライアーズ・ポーカー』は続いている。描かれていることは、他の本ですでに読んだことだが、こうして肉声として伝わってくると、サブプライム危機の単純さと複雑さが直接伝わってきます。
単純だと思うのは、”Wall Street” (1987)との共通点。Greedの肯定。強烈な競争。社会的な弱者。少数の勝者と大量のマヌケな人。レバレッジとマルチプル。
複雑だと思うのは、世界経済を吹っ飛ばすリスクの大きさと、結果的に正しくリスクを観ていた人が単純には報われていない点。サブプライムのリスクを理解し、「世紀の空売り」のポジションをとれた人は、エクストリーマーだった。彼も、顧客の資産を運用している以上、金融破綻に掛けるポジションを説明するのは容易ではない。結局、精神的に病んでしまう。
マヌケに描かれるのが、ドイツの銀行や日本の証券会社というのも、80年代のB級映画のよう。こういう単純構図がやっぱり受けるんですかね。
では。
Amazonの書評を読む