石川 純治 日本評論社 2010/4
駒澤大学経済学部教授のエッセイ。会計に関する時事問題を分析しているので、会計士でなくても楽しめます。
たとえば、長銀事件を法と会計の双方が関わる分野として分析しています。p.133
同じく粉飾決算が焦点になる事件ではあっても、カネボウ事件やライブドア事件ではそもそも適正な会計処理自体がなされておらず、したがって「公正な会計慣行」が争われる余地はない、という点で基本的に異なるといえる。p.135
「公正な会計慣行」をめぐって、会計士、法律家の双方の視点で議論を展開し、この事件の判決を理解するのに参考になりました。
目次は以下のとおりですが、それぞれについて会計的な視点からの解説があり、興味深いものでした。
1 大手銀行3兆円の史上最高益
2 大手生保の「3利源」開示
3 会計に「ミレニアム問題」はある?
4 サブプライム問題と会計
5 減価償却制度の改正と企業会計
6 「東京合意」とコンバージェンス問題
7 国際会計基準の世界浸透
8 国際共通化と在庫の評価方法
9 続 アカウンティング・スクールの苦戦
10 伊勢丹・三越の経営統合と会計
11 旧長銀事件裁判と「公正な会計慣行」
12 変わる財務諸表の様式
13 日米欧の時価会計「凍結」をめぐって
14 秩序ある市場主義をめぐって
15 IFRS導入の「日本版ロードマップ案」公表へ
16 金融商品会計の見直し案をどうみる
17 現代会計の変容をどう見る
では。