ジェームズ・キャメロン 世界の終わりから未来を見つめる男
The Futurist The Life And Films of JAMES CAMERON
Rebecca Keegan フィルムアート 2010/8
『ターミネーター』、『タイタニック』、『アバター』を観たからには、本書を読まざるをえません。映画の製作費記録を更新しかつ、興行成績も更新してきた監督の半生記。中国の映画を撮影して23億円の借金を背負った歌手の話を聞いたあとでは、この監督のリスクテイクには頭が下がります。
見事なまでの絶対核家族人ですね。
- 生まれはカナダ。
- 両親とは同居せず、ハリウッドへ。
- 4回の結婚。
- 権威よりも、自由を重んじ、果敢にリスクを取っていく(リスクがみえてない?)。
- 無名の役者をオーディションで使う
- 自分が作った会社をあっさり手放し、もう一つ作る
マネできません。
興味深いのは、「プロダクト・プランニング」が結果的にできていたこと。企業というのは、今ある技術で設計してしまうと、市場に投入する頃には、時代遅れになってしまう。なので、市場に投入する時期から逆算して、その頃にはこれぐらいの技術になっているだろうと予測して、新製品を投入します。
キャメロン監督も、T2にとりかかるときに、T-1000のCG処理技術ができていなかった(知らなかった?)にもかかわらず、採用の決断をする。1日撮影が伸びるたびに、巨額の費用がかかる映画撮影において、この決断は重いものがあります。キャメロンQBが無謀にも投げた、タッチダウンパスを、CG会社が死ぬ気で走ってキャッチ(TD)したというとこでしょうか。
キャスティングも興味深いです。T2の子役に、全く無名の子を抜擢したこと。ただ、無名にこだわるのではなく、タイタニックにデカプリオをアサインした下りも面白いです。
22歳のレオナルド・ディカプリオについてキャメロンは男らしさが足りないと感じていた。(中略)… キャメロンはディカプリオをライトストーム者に招き面会することにした。すると奇妙なことに、会社中のほとんどの女性たちが、会計士や秘書を含めて、ディカプリオとの会談に立ち会いたいと言い出した。p.248
バランス取れてるなぁとまた感心。”The Last Train from Hiroshima”は、どうなるんでしょうかね。楽しみです。
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