参議院とは何か
竹中 治堅 中公叢書 2010/5
東洋経済:2010年上期 政治書ベスト20第1位。戦後60年の参議院を振り返ることで、議院内閣制における参院の役割を考察しています。ねじれによる停滞を嘆く方が多い今日この頃ですが、そのヒントも、また我が国の歴史の中にあるんですね。
「カーボンコピー」「第2衆議院」と批判される参議院ですが、歴史を振り返れば、確実な形で政治に影響を与えているのがわかります。首相の解散権は参議院に及びません。公認権はあるのですが、参議院議員の任期よりも、現実には党首の任期が短いため、公認権からも比較的自由な立場に参議院議員はいます。こうした独立性から、首相に対して有形無形の影響力を行使してきたんですね。
歴史に学ぶという意味では、55年体制ができあがるまで、与党は参議院の過半数を確保していなかった事実があります。こういう過去の経験に学ぶべきなんでしょうね。
本書では、分析だけでなく、参議院改革についても、提言をしています。問題点としては、
- 二院の相互牽制が効き過ぎて、立法活動が滞ること
- 一票の格差
をあげ、参議院をより意味のあるものにすることを提案しています。
我々は、迅速な立法よりも、慎重な立法を選んでいたということなんですね。
では。