プライベート・エクイティ 勝者の条件
杉浦慶一/編 日本経済新聞出版社 (2010/5)
日本でプライベート・エクイティのlast decadeとnext decadeを俯瞰する本。もう10年経ったんだなという感慨と、難題山積みという感覚が交差します。第一級の実務家・研究者が執筆しており、現場にいる方も、これから業界を目指す学生にも読み応えのある本になっています。単純な理論紹介に終わらず、「そんな料率なんだ」と思うような具体的な数値も出てきています。
PEファンドは、BSの右側の整理はかなり効率的にできるようになってきましたが、左側の価値を上げることができるのか。時間軸は?といろいろ考えさせられます。さまざまな専門家が貴重な指摘をしていますが、共通するのは、(ポータブルな)専門家の育成(層の拡充)にあるのが興味深いところです。まだまだ、日本は専門家がひとつの企業に属しており、PEの対象企業にさっと集まらない。CFOというポジションも、実は日本企業ではぴったりと当てはまる人は多く無いですね。財務部長とは微妙に違います。
もちろん、CEOが重要なのですが、報酬開示をめぐるヤッカミをみていると、日本にプロ経営者が増えるのは、まだ時間がかかるのかなと思います。
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