【本】特捜検察vs.金融権力 ☆☆☆☆

特捜検察vs.金融権力
特捜検察vs.金融権力
村山 治 朝日新聞社 2007/1

 朝日の敏腕司法記者の手による検察ドキュメント。あまりに内容が濃いので、読者層は限定されると思いますが、良書です。
 ライブドア事件を単体で見ていると、見えなかったのですが、こうしてしっかりと時間軸をもって検察と金融権力(大蔵省や金融機関)との関係を見ていくと、日本社会の変化が見て取れます。


 98年に金融監督庁が発足した時に、そのトップがなぜ検察庁出身の日野正晴氏だったのかわかりませんでした。この本を読むと、バブル崩壊後、大蔵省(金融機関)と特捜検察のが、絡み合う糸のように日本社会の変化を織りなしていたのがわかります。
 それは、単純な法律論や正義の話でもなく、その時代の判断の連続なんですね。しかも、それがとても、人間臭い。『国家の罠』は政治を軸とすることで、小泉以前とその後を鮮やかに描いていますが、本書は、政治をあえて遠ざけることで、バブル崩壊後の日本を活写しています。久々にジャーナリストの作品をみました。

では(^^)/^

【参考】
週刊東洋経済 2007/4/14 P.124 に歳川隆雄さんの書評が載ってました。