【本】「医療政策」入門

「医療政策」入門

東京大学医療政策人材養成講座 医学書院 (2009/04)

東京大学医療政策人材養成講座(Healthcare and Social Policy Leadership Program)の講義録。

内閣府の国民選考度調査では、常に最重要政策(こちらの図表6)と考えられながら、人任せ感のあった医療政策。医学のみならず、財政学、経済学、経営学、工学、法学、哲学といったさまざまな視点から医療政策が語られており、格好の入門書になっています。久々に、東大いい仕事してるなと思いました。(目次は、こちらを参照) 以下、気になった点のメモです。

1 喫緊の医療政策課題 (近藤正晃ジェームス)

日本の医療のパフォーマンスは世界一。平均寿命が長く、乳幼児死亡率は低い。対GDP医療費は、8.0%と低い。

望む医療制度は、所得によって異なる(PDF)。

一方、WHOの”Overall health system performance“では10位。

2 医療とは、ケアとは、ニーズとは (広井良典

個人の生涯医療費は2300万円。その49%を70歳以上で使う。

他国と比較すると、日本の年金は高く、医療費は低い。高度成長期に、高齢化を予測しきれずに給付を上げ続けたため。社会保障の財源不足を医療費削減で穴埋めする傾向がある。

3 医療財政 (新川浩嗣)

国民医療費は、社会保障給付費の3分の1。国民医療費の半分が65歳以上の医療費。

団塊世代は、2015年には65歳以上に、2025年には後期高齢者になる。

4 医療政策論
section1 我が国の医療政策の歴史的変遷と今後の方向 (伊藤雅治)
section2 医療政策の決定過程 誰が誰のために決めるのか (前村聡)

5 医療経済学 日本の医療保険制度の歩みとその今日的課題 (井伊雅子)

日本の医療保険制度は、給付は公平だが負担は不公平。

最高 羅臼町 117千円

最低 粟栗町  22千円
(厚生労働省社会保障審議会 第16 回医療保険部会 資料3-1 参考資料)

国民医療費は、公開に2年かかっている。

では。

Amazonの書評を読む

【参考】

http://www.mediadoctor.jp/menu/mmforum-hanioka1.pdf