【本】グーグル秘録

グーグル秘録
Googled: The End of the World As We Know It

by Ken Auletta 文藝春秋 2010/5

NewYorkerの記者によるグーグル・ドキュメント。アメリカNo.1のメディア記者と言われるだけあって、充実しております。グーグル社幹部に計150 回、 ライバル社、伝統メディア陣営など総勢150人という膨大な取材のエッセンスをじっくり楽しませてもらいました。

SONYとAppleの話は、何度読んでも面白いのに、Googleの話はなんか「ひっかかり」がないんですよね。

3人とも社員を鼓舞するようなリーダーではないし、素晴らしいセールスマンでもないし、話がうまいわけでもない。p.332

まず、理解しないといけないのは、創業者の教育環境。ブリンはモンテッソーリ式小学校に通い、大学教授の両親のもと、自分で考えることを徹底されています。p.51 日本の公立教育からは出てきにくいタイプですね。
次に、3人の経営者が並び立っていること。絶対核家族の社会ならではの経営で、直系家族の日本に直輸入は難しいでしょう。
リーダーシップでは、p.429のイタイ・タルガム氏の指揮者のメタファーが秀逸です。

ムーティー:管理主義者
シュトラウス: 自由を与えるが、権威はなく、インスピレーションもなし。
カラヤン: オーケストラをみようとせず、インスピレーションも与えない
クライバー: 自由な感覚を与えながら、権威もあった。
バーンスタイン: ボスではあったが、メンバーの最良部分を引き出し、Communityの一員とした。
技術については、この例が最も印象に残りました。

1940年当時のドイツは誰もが強大な国家と考えるような存在ではなかった。 財政は破綻寸前で、軍隊の規模は小さく、戦車の能力はフランスより劣っていた。 ではなぜ、ドイツ軍の電撃作戦は成功したのか?
それはドイツの戦車に、無線というフランス軍が備えていなかった新たなテクノロジーが配備されていたからだ。p.445

コンテンツについては、Robert Eiger (CEO of The The Walt Disney Company)の言葉が、現状を的確に言い当てていると思います。

ABCで視聴者の塔子作品を流す『アメリカ人の愉快なホームビデオ』という番組を作ったのは、この私だったんだ。(中略)それなのに、なぜユーチューブの登場を予期できなかったんだろう。  p.448

では。

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[参考]
・特設サイト
http://bunshun.jp/pick-up/googled/

【「グーグル秘録」著者に聞く】

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100527/biz1005272025035-n1.htm