青春の言葉 風街の歌  ~No.1ヒットメーカー 作詞家 松本隆の40年~

NHK「音楽のチカラ」を観ました。松本さんの話は、これまでいろんなメディアで出ていたので、新たな発見は少なかったのですが、関係者が本物で構成されている映像をみると、やっぱり感動しますね。

企業経営者と作曲家が似ていると思ったのは、人を見抜く力。社長というのは、あらゆる方面から騙されます。期待している社員は辞める。信頼していた銀行は融資を引き上げる。ここは大丈夫と思っていた販売先が潰れる。仕入先から現金で払ってくれと言われる。こういう人たちは、1週間前に、辞めますとか潰れますとか文書で提出するわけではありません。あくまで彼らの顔色を観て、お、元気ないなとか気づく人でないと、ぎりぎりの危機を回避できません。

松本さんのインタビューで驚いていたのは、Kinkiの曲を書く前に、ふたりをテレビでみて、硝子の少年のイメージを固めていたことです。ふたりに会ってもいないのに、青春のもろさを感じて、ガラスに例えた。言われてみれば、作詞家は、提供者が決まっている場合、その人の持っているものを活かす言葉で作らないと、遠くの人に届く詩はできません。そういう意味では、アーティストの本質を見抜く力が磨かれているんですね。
名曲は多くのアーティストにカバーされますが、オリジナルがいつまでも輝くのは、最初がオーダーメイドということもあるのではないでしょうか。

次に驚いたのは、自分の詩が劣化しないと思っていたこと。たしかに、憧れのハワイ航路は、昭和を感じますが、松本隆の詩は、古いと思わない。時計をちらっと見るたび、泣きそうな気分になる(’82年)女子は、まだいそうな気がする。いまからみると、なんてこと無い表現に思えるが、そのちょっと前までは、来てはもらえぬセーターを涙こらえて編んで(’75年)いたのだ。

30年後の2010年から振り返れば、日本女性の本質的な変化を松本隆は捉えていたのがわかる。気弱な彼氏だけどいいやというのは、経済的に自立なしに成立しない心境なのだから。

そして、私もビックリ、綾瀬はるか。

赤いスイートピーも多くのひとにカバーされましたが、この曲がハマる女性(ひと)は、何か持ってますよね。なんだろう…。女性誌を読むほど、男に持てなくなるというと同じ答えな気がしております。

では。