森有正 (ちくま学芸文庫)
先日ご紹介した『私塾のすすめ』で梅田さんが、座右の書に挙げていたので、読んでみました。
著者は、デカルトやパスカルを研究した哲学者。1950年にフランス政府給付留学生として
梅田さんが引用したのは、著者の苛烈な生き様でした。
人間が軽薄である限り、何をしても、何を書いても、どんな立派に見える仕事を完成しても、どんなに立派に見える人間になっても、それは虚偽にすぎないのだ。(中略)自分の中の軽薄さを殺しつくすこと、そんなことができるものかどうか知らない。その反証ばかりを僕は毎日見ているのだから。それでも進んでゆかなければならない。
同様の決意は、p.15でも感じられました。
僕は僕のヴェリテに従ってのみ自分の思考と行動を規律しよう。それに反することは一切しないことを決意する。
そして、p.113では、生活についてこのような境地に達します。
僕はこの生活のリズムを硬く維持し、数十年を経過したいと思う。(中略)僕のすべきことは、この生活を護り抜き、息抜き、そして死ぬことなのだ。
半世紀前のエッセーなのですが、知的生活に対して、これほどの決意を示すというのは、ものすごいパワーを感じます。こういう哲学的な思考が、世の中からスポっとなくなってしまいましたね。
では。
【参考】