【本】二代目経営塾

二代目経営塾
二代目経営塾
関 満博

 一橋の関教授の経営論。地方をくまなく回り、現場で中小企業経営者とのネットワークを構築してきた成果が、でています。戦後に創業した企業が、代替わりしているのが、よくわかります。


 事業継承を3パターンに分けています。

1.仕事を劇的に変える
2.新規事業に向かう
3.仕事を高める
 
2の例で、岩手県の建設業、小田島組がありました(P.101)。

 電気科卒でITに強い小田島氏はネットで知り合った広島や山梨のネットベンチャーたちと開発に踏み出し、GPSつきのデジタルカメラで撮ったマンホール画像をマップ上で管理するシステムを開発している

 「位置コミ」というサービスになって、IT経営百選に選ばれています。建設業という世界から、Web 2.0な世界に飛び込んでいます。
 もうひとつ面白いのは、小田島社長は、時間の半分を青年会議所の仕事に充てていることです(P.102)。ITの発達でクリアできることが多いし、会社を客観的に見れると意に介していません。
 高岡の苗加(のうか)製作所も面白いですね(P.114)。家庭用ガス釜の仕事を中国に取られた逆境下で、業務用釜のコーティングに活路を見出しています。高岡銅器というモノ造りの原点に軸足を置きながら、サービス化を自ら手がけているところがいいですね。
 読み終えると、日本の企業が元気なのは、こういう社長がいるからだというのを実感します。ただ、若い人が、こういう会社に注目してくれるかなと心配にもなりますね。どうも、「艶(つや)」が欠けているかなと思います。
 ソニーも東京通信工業時代には、人集めに苦労したはずですが、あそこで働けば、格好いい(女性にもモテる)というような勘違いをさせる工夫をしていたと思うんですね。表には出てきませんが。
 この本に出てくる会社がそうなってくれば、日本もだいぶ明るくなるかと。

 では(^^)/^

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