最高裁判所判事として在任し、その間計5回の衆参両院の議員定数不均衡訴訟の判決に関わり、積極的に反対意見を述べた福田博氏による、議員定数不均衡の問題についての講演を本にしたもの。
出発点になっているのは、外交官時代に耳にした日本の民主主義の評価。
いや、同盟国だから二流だと書いてあるが、本当は三流だろう
本書では、オバマ大統領を生んだアメリカを
アメリカでは民主主義が機能しているということである。別の言い方をすれば、アメリカでは民主主義が現在でも進化している。
と評価しています。
ちょっと前まで世襲に関する議論がありましたが、本書を読めば、世襲が是か非かは、有権者が決めるというような単純な問題ではないのがわかります。選挙区が行政区と一致しており、定数是正の必要があるにもかかわらず変わらないことが、民主主義の根本的な問題だと指摘しています。
アメリカは、平均から4%乖離があれば必ず是正が義務づけられます。ドイツでは、小選挙区の有権者のばらつきが大きくなると、定員を超えて当選者が出る仕組みになっています。
選挙制度が社会に与える影響については、アメリカの建国以来の歴史を紐解いて解説しています。
日本の議員世襲については、「特別公務員の世代を超えた天下り的現象」と手厳しく批判。不公正、非効率で活力のない国になる原因と分析しています。
今年は、選挙の夏になりますね。ぜひ、ご一読を。
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【参考】
・一人一票実現国民会議
http://www.ippyo.org/
バーチャル・投票実施中
http://www.ippyo.org/question1.html