イスラムの怒り 集英社新書 2009/5
イスラムの時代が来ると思い、イスラム諸国を続けて旅行した時がありました。10億人という数は、無視することはできず、理解しなければと思うものの、日本とはだいぶ世界が違いました。本書は、イスラムのタブーに焦点を絞って解説しえくれているので、これまでぼやけいた写真にピタっと焦点があいました。
サッカー・ワールドカップ2006決勝で、ジダン選手が退場した事件を丁寧に追っています。いろいろ憶測が飛び交いましたが、考えられるのは、女性親族に対する性的な意味合いを含んだ侮辱しかないとしています。
なぜなら、その類いの侮蔑に「暴力も辞さないのは、ムスリムに共通の反応」
キリスト圏では、相手を罵るときに”God”が頻繁に入りますが、イスラム圏ではありえない。イスラム圏では、女性や子供を傷つけるのはタブーだが、セックスに対する後ろめたさはない。
これ以外にも、学ぶことがあまたありますが、たとえば、「ジハード」
ジハードを聖戦と訳すことが多いが、これは誤訳といったほうがよい。もともとは、イスラム教徒一人一人が、正しい信仰実践をする努力のことを指す。p.26
選挙の争点にはなってませんが、日本が21世紀も世界に踏みとどまるためには、異文化コミュニケーションをどう高めていくかが重要で、本書は、非常に参考になりました。
では。