ビジネス力の磨き方
大前 研一 2007/5 PHP
大前さんの「読者用ダイジェスト」といった新書。ビジネスにおける先見力の磨き方から、女性とのつきあいまで幅広い話題に簡潔に答えています。新書ということもあって、気軽に読めました。
昨年ご紹介した『即戦力の磨き方』から主張は変わっていません。
すべてのサラリーマンは職業的絶滅の危機にある(P.6)
のであり、21世紀的な生き方を体得すべきだということです。
21世紀を象徴するトレンドは、以下のとおり(P.3)
1.ITが進化して仕事のやり方が従来とは、まったく変わってしまった。
2.企業の機能連鎖(開発-設計-製造-販売-サービス)がバラバラになり、生産が世界最適地に配置され、サポート部隊もアウトソースされるようになった
3.韓国、台湾、中国が力をつけた
4.インド、中欧、フィリピンまでもが知的産業を世界中から引き寄せている。
5.従来は欧米と東南アジアが市場であったが、いまはBRICsのみならず世界中が市場となった。
まず、必要となるのが、先見力。先日ご紹介したマッキンゼー創始者の一人、マービン・バウワーの考え出した”Forces At Work”を紹介しています(P.19)。
ある傾向を伴った事象があれば、そこには必ずその事象を発生させるだけの力(FAW)が働いているはずだから、それを分析し発見するのだ。(中略)
私のいう先見力とはこの、?観察、?兆しの発見、?FAW、?FF(早送り)が正しくできる能力のことなのである。
次が、突破力。
壁に立ち向かい執念でその壁を克服した人を見つけたら、世界中どこであろうと訪ねていって、直接オーラを感じるようにしている。それを繰り返していると、自分が壁にぶつかったとき「このぐらいの壁、彼らが突破してきたものに比べたら、たいしたことないじゃないか。乗り越えられないでどうする」という気持ちになれるからだ。P.68
と以後、大前節が続き、締めは、トヨタ、キャノンが日本を見捨てる日について触れています。これからの勝負は、突出した個人・企業をどれだけ生み出せるかで決まり、日本の教育制度では、そうした人材が生まれないからだそうです。
日本人が21世紀の世界でメシを食いたいのなら、世界の最適地を見つけて、海外に出ていくことである。(中略)あとはそういうところで何が何でも成功してやるぞ、という強い意志を持った人間。ハングリーさ、つまりビジネス力、すなわちプロフェッショナルの意識とマネジメント能力をいやが上にも磨くことだ。
いろいろ自分について考え直してみようと思います。
では。