【本】IKEA超巨大小売業、成功の秘訣

IKEA超巨大小売業、成功の秘訣
IKEA超巨大小売業、成功の秘訣
Die 11 Gehimnisse des IKEA-Erfolgs
リュディガー・ユングブルート

ミネソタの人は、日本人っぽいなぁと思っていました。彼らの祖先は、北欧から移住してきた人々でした。そうすると、北欧の人のメンタリティも、日本人に近いんですかね。スウェーデン発のIKEAの成功物語を読むと、思わず笑ってしまう箇所がいくつかありました。


 イケアは、家具屋でありながら、家具屋に留まりません。P.212にイケアの顧客調査が掲載されています。 

オリエントのバザールにいるような気持ちにさせるショッピングの雰囲気である。そして家具やアクセサリーの鮮やかな色彩に接すると、自分は若くてエキサイティングな人生を過ごしているような気持ちになる。さらに他の家具店とはあきらかに異なる、ウィットに富んだ宣伝メッセージが伝わってくる。つまりそこにおいてあるものだけが刺激的なのではなく、そこにただよう生活感覚が魅力的なのだ。

 イケア成功の理由は、以下のとおりです。

 ・デザインのよさ
 ・グローバル調達による低価格
 ・サプライチェーン

 これに加えて、強烈な経営者の個性とmission:できるだけ多くの人に形が美しくて機能的な家具を届けたい があるからですね。 IKEAは、Ingvar Kamprad Elmtaryd, Agunnarydの略称。創業者のIngvar Kamprad氏とエルムタリッドは、カンプラード氏が育った南スウェーデンの森に囲まれた農場の名前。アグナリッドは、そこから数キロはなれた村の名前(map)。カンプラード氏は、世界有数の資産家であるにもかかわらず、コスト感覚の鋭い(ケチな)人だというのが、よくわかりました。社員にコスト感覚を植えつけるために、社内報にまで制作費を記載しているそうです。本人曰く 

無駄遣いは人類最大の病の一つである。近代建築の多くは、実際の必要を合理的に満たしたものというよりは、人間のおろかさの記念碑というべきである

そうで、シンプルライフに対する信念の強さがうかがえます。
 商品の調達は、世界55カ国に及び、スウェーデン製は、わずか9%(P.275)。イケアは、低賃金の国で作り、高賃金の国で売ることを徹底した企業でもあります。そのきっかけが、安売りによって、同業他社から妨害を受け、その調達先を当時鉄のカーテンの向こう側にいたポーランドに頼らざるを得なかったため、というのも、興味深い点でした。
 こうしてコストを徹底的に削減する一方で、スウェーデン発のディズニーランドたらんとする。たとえば、IKEAには、安く楽しめるレストランがあります。これはカンプラード氏が「原がへっては買い物ができぬ」と考えて、作ったものだったんですね(P.220)。このレストラン部門は、ドイツのファースト部門で14位なんだそうです。
 そして、経営への部外者の介入を嫌い、借金も株式公開もしない。従業員に働く喜びを持つことと、会社への忠誠を求める。社会主義的な政府への反発など。経営手法も単純な日米比較ではなく、北欧企業のあり方も入れると、より柔軟な制度設計に思いをはせることができますね。

では(^^)/^

IKEA(イケア)船橋店 を読む